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Ry0TAの日記

2009-10-24

米名門男子大学の「ドレス・コード」

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名門男子大学が「女装」や「化粧」を禁止、議論に 米国—CNN.com.jp

http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200910180008.html

  

ジョージア州アトランタ(CNN) 米ジョージア州アトランタにある名門私立男子大学モアハウス・カレッジがこのほど、女性の衣装や化粧、ハイヒールなどを「不適切な服装」だとして禁止、議論になっている。

  

同大学は19世紀に黒人男子向けに設立された教育機関で、米国でも歴史ある名門の男子大学として知られる。学生数は2700人。卒業生にはマルティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師やサミュエル・L・ジャクソンなどが知られている。

  

(略)

  

これまでにも服装に関する規定はあり、屋内での帽子着用や公共の場におけるパジャマ姿、ヒップホップ好きに好まれるキャップの「ドゥーラグ」、ずり下げズボン、教室内でのサングラス着用、キャンパス内を裸足で歩くことなどが禁止されている。

  

もとのCNNの記事はこちらだ。

All-male college cracks down on cross-dressing - CNN.com

http://edition.cnn.com/2009/US/10/17/college.dress.code/index.html

  

この服装規定というのが具体的にどんな内容なのか、あちこちで紹介されている。

Moving Beyond Black Male Respectability: Notes on Morehouse College's Dress Code Policy - the Daily Voice

http://thedailyvoice.com/voice/2009/10/new-dress-code-for-a-famous-bl-002336.php

  

11箇条からなっていて、例として禁止される9つの服装が挙げられている。

  

あらたに追加された「『女装』の禁止」とは、次の9条だ。

女性の服装に関連する服装(ドレス、トップス、チュニック、ハンドバック、パンプスなど)を、モアハウスの構内または大学が後援する催しで着用してはならない。

  

9. No wearing of clothing associated with women's garb (dresses, tops, tunics, purses, pumps, etc.) on the Morehouse campus or at College-sponsored events.

  

そのほかの服装規定とそれが適用される範囲は、以下の通り。

  

1.帽子・ドゥーラグ・フード→教室、カフェテリア、屋内で禁止

2.サングラス・シェード→授業・フォーマルプログラム

3.グリルズ(歯の装飾)→キャンパス、大学が後援する催しで

4.ジーンズ→ビジネスカジュアルや半正装、正装が求められるプログラム

5.侮蔑的・攻撃的・わいせつなメッセージを持つ(言葉でも絵でも)服→(場所を特定していない)

6.上半身・下半身は常に覆う、公的な場で裸足で歩かない

7.ずり下げズボン→(場所を特定していない)

8.パジャマ→大学の公的の場、共有の場で

  

わかりにくいのだが、一部の服装は、「キャンパスで」と場所を特定していない。上半身裸、裸足、ずり下げズボン、攻撃的なロゴなどが入った服などは、キャンパス外でも不適切な服装として非難される、そういう使われ方をしそうな服装規定だ、と感じる。

別の記事によると、モアハウス大がこのような服装規定を持つ大学の仲間入りをしたのは、2007年かららしい。

Morehouse to Institute Dress Code - Jack & Jill Politics

http://www.jackandjillpolitics.com/2007/09/morehouse-to-institute-dress-code/

  

大学が学生の特定の服装を「不適切」として大学や授業から閉め出す、これも議論を呼んでいるが、今回新たに追加されたこの「女装」の禁止は、明らかにおかしい。

男装」は、この大学が「名門男子校の学生にふさわしくない」と考える一部の服装が禁止になっているのだが、「女性の服装」はひとしなみに「不適切」と禁じられているからだ。

女性の服装もさまざまなのだから、この大学が「適切」と考える男子学生の服装の女性版のようなものなら、かまなわいはずじゃないかと思う。

「女装」をひとしなみに禁止するということは、男性の身体を持つ人間が女性の服装をすることを「不適切」と見なしているということ、すべてのMtFトランスジェンダーの社会的地位を否定するような立場を、大学が取っているということだ。

  

ところで、CNNの英語・日本語の記事を比べると、日本語の記事は一部の省略や翻訳ミスのせいで意味が通らないor変わってしまっているところがある。

  

しかし、今回新たに「女装」を、「同大学にとって不適切なもの」と見なし、禁止することに。学生部のウィリアム・バイナム副部長によると率先して女装する、同性愛者の生活様式を取り入れている学生5人と話し合い、本学にはふさわしくないと結論づけたとしている。

  

The dress-wearing ban is aimed at a small part of the private college's 2,700-member student body, said Dr. William Bynum, vice president for Student Services.

"We are talking about five students who are living a gay lifestyle that is leading them to dress a way we do not expect in Morehouse men," he said

  

ドレス着用の禁止は2700人の大学の学生全体のごく一部に向けられている、と、ウィリアム・バイナム学生支援課次長[注:役職名は適当]は語った。

「我々は、5名の学生のことを言っているのです。かれらはゲイのライフスタイルに基づいて生活し、その結果、我々がモアハウス大の男子としてふさわしくないと思う身なりをするようになっています」

  

バイナム氏は、モアハウス大のMorehouse Safe Spaceというゲイ学生団体とも話し合いを持っている。日本語の記事で「禁止通達の前には禁止項目の是非について投票も実施。27人中の反対者は3人で、賛成多数で可決されたとしている」とあるが、この27人とは、Morehouse Safe Spaceのメンバーのことであるようだ。

  

Before the school released the policy, Bynum said, he met with Morehouse Safe Space, the campus' gay organization.

"We talked about it and then they took a vote," he said. "Of the 27 people in the room, only three were against it."

  

大学がこの方針を発表するまえに、キャンパスのゲイ学生団体Morehouse Safe Spaceと会見したと彼[バイナム氏]は述べた。

「我々はこの問題について話し合い、それからかれらは投票を行いました」彼は言う。「部屋にいた27人のうち、たった3人がこの方針に反対でした」。

  

要するに、キャンパスのゲイ学生団体からも大きな反対はでなかった、ということを言いたいらしい(バイナム氏は)。

  

バイナム氏がほのめかした「5人の学生」が、ゲイでクロス・ドレッサーなのか、トランスジェンダーなのか、この記事では曖昧だ。

  

しかし、推測だが記事のこの箇所が示しているのは、このゲイ学生団体の中には女性的な身なりをするゲイトランスジェンダーに冷淡で、かれらを閉め出す校則に疑問を持たない人が多かった、ということではないか。

  

モアハウス大は、今年の2月に、大学新聞の記事で事件を起こしている。

オンライン大学新聞Maroon Tigerに掲載された「Is Gay the Way?」という記事が、ゲイトランスジェンダーの批判を浴びたのである。

Morehouse under fire again for alleged homophobia - Southern Voice Atlanta

http://www.sovo.com/2009/2-20/news/localnews/9800.cfm

  

このような内容の記事だ。

  

モアハウス大の「ストレート」の男性がゲイのライフスタイルが不愉快だというのは、それほどのことではない。だがこのライフスタイルがしょっちゅうぶしつけに顔にたたきつけられてくるのは大変なことだ。ゲイ男性であるということには、女性の習慣を身につけることも入っているのだろうか?もしうだというなら、男子校ではなく、もっとふさわしい学校がある。

It’s not so much that “straight” men of Morehouse are uncomfortable with the gay lifestyle, but moreso that the lifestyle is constantly and robustly thrown in their faces. Does being a gay man include adopting the traits of a woman? Because if that’s the case, there’s a more fitting school, and it’s not an all-male institution.

  

あなたが誰であろうとかまわない。もしあなたが女性を好きなら、女性とつきあえばいい。もし男性が好きなら、男性とつきあってくれてかまわない。だが、あなたが男に生まれたなら、あなたはただ—男であるべきだ。もし僕が、繰り返すが、もし僕が男子校のキャンパスで男だか女だかわからない人を見なければならなかったら、なにかが悲惨なぐらい間違っているということになる。

I’m all for being who you are. If you like women, go on and date women. If you like men, be my guest and date men. But if you are born a man, you should be just that—a man. If I have to look twice to tell if I’m looking at a man or woman on an all male campus, then something is tragically wrong.

  

このぶんでは、モアハウス大学は困難な状態になるだろう。もし、僕らのゲイのモアハウス同窓生が次の段階に進んで性転換手術を受けることを決断し、身体的にも女性と見なされるようになったら、どうなるか。モアハウスはその学生に退学するようにと求めることができるのか?

At this rate, Morehouse College may find itself in a difficult situation. What happens if and when one of our gay Morehouse brothers decides to go the next step and undergo a sex-change operation, and is then physically considered to be a woman? Does Morehouse have the right to ask that student to leave?

  

女性的な男性や恐らくトランスジェンダーの学生が大勢いることは、モアハウス大の評判を傷つけるだろう。そしておそらく入学率にも影響し、その結果大学の収入にも影響を与える。・・・

A massive population of feminine males and possibly transgender students could harm the reputation of Morehouse and perhaps affect its admissions rate, thereby impacting the college's revenue. ...

  

Is Gay the Way? - The Maroon Tiger

http://www.themaroontiger.com/index.php?option=com_content&view=article&id=181%3Agerren-gaynor&Itemid=6

  

ここで非難されている「女性的な男性や恐らくトランスジェンダーの学生」が、新服装規定が標的にしている「5人の学生」と重なることは、たぶんまちがいない。

モアハウス大学は、2002年にゲイ学生が野球バットで襲撃されるという事件を起こしているが、昨年から学内でのゲイ学生差別には慎重な立場を取っているという(Southern Voice Atlantaの記事末尾)。だが、「男子校の学生」が「女性の格好」をすること、「ジェンダー規範」を壊すことは、公然と非難されるのである。

    

このモアハウス大学の新しい服装規定を「ホモフォビア(同性愛嫌悪)か?」とする意見もあるけれど、「トランスフォビア(トランスジェンダー嫌悪)」の問題、性別二元制と「男らしさ」の問題といったほうが正しいと思う。

  

ドレス・コードとは厄介だ。

「適切な服装」や「TPOにあった服」とは、自動的にマジョリティのシスジェンダー規範、性別二元性の規範の支配下に置かれているからだ。

「場にふさわしく装うこと」を求めることが、何らかの理由でその規範に適応できない人に対する抑圧・排除になる。

  

学生たちの意見。

  

Senior Devon Watson said he disagrees with parts of the new policy, especially those that tell students what they should wear in free time outside of the classroom.

"I feel that there will be a lot of resentment and backlash," Watson said. "It infringes on the student's freedom of expression. I matriculated successfully for three-and-half years dressing so how is this a problem?"

  

4年生のDevon Watsonさんは、新しい規則の一部、とくに学生に教室の外での自由時間に何を着るべきかを指示している規則には賛同できないと言う。

「きっと沢山の怒りや反発があるんじゃないかと思います」Watsonさんは語る。「学生の表現の自由を侵害しています。私は3年半何事もなくドレスを着ることを許されてきましたが、これがどう問題だというのですか?」

  

Senior Tyrone McGowan said he has mixed feelings about parts of the policy.

"But I have been inspired by the conversation it has created," he said. "We have to find a way to create diverse leaders from this college. I don't want this to place all of us in one box."

  

4年生のTyrone McGowanさんは、この校則をいいとも思うし、悪いとも思う、と言う。

「しかし、この校則をきっかけに起こった対話には考えさせられました」彼は語った。「私たちはこの大学から多様な指導者たちを出さねばならないということです。大学がみんなを1つの箱に押し込める場所であってほしくはありません」。

  

その通りだと思う。

LilyKittyLilyKitty2010/08/02 22:55こんにちは。もともとアメリカ合衆国はトランスジェンダーであることだけで惨殺された例の多数ある危険で反動的な地域が多いの国柄(11月22日のremembarance dayからも窺えるように)なので、「ああやっぱり」と印象を受けました。それでも例えばハーバード大学のように学生の身分、性別に「トランスジェンダー」という「分類」も認めている場所もあるように「エリート層」に於いて「トランスジェンダー」や「性別移行gender transition」は確実に認知や受け入れが進みつつあります。これには電子工学者にして性別移行の当事者のリン・コンウェイ教授の活躍(この方もかつてIBMに勤務されていたころは大変な迫害や排除に苦しんだのですが)も大きいです。しかし「大学の男子校」とは。フランス(1980年代まで小学校から男女別学、今もグランゼコールは別学)と正反対に男女共学を推進してきたアメリカに男子専用の高等教育機関が存在するとは、何とも皮肉な結果です。しかし米国には「男女合同」の軍隊まであり、服装も含めてジェンダーの表現を基本的人権と位置けた「ジョグジャカルタ原則」が確立し、その議決に携わったメアリー・ロビンソンにオバマ大統領は2009年に大統領自由勲章を授けています。「モアハウス大学」が真の「名門大学」であれば、この事態は良い方向で解決に向かうと思います。真に悲惨なのは制服や校則で(特に中高生の)生徒を縛り上げ、ホルモンや手術の健康保険の不適応や「プレオペ」の当事者に「身体の性」のパスポートを未だに押しつける国と思わざるをえません。GIDいう診断名の普及からしても...