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Ry0TAの日記

2009-11-29

世界のHIVエイズ対策に対する資金援助の後退

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今年で21年目となる2009年の世界エイズデー(12月1日)のテーマは「普遍的アクセス人権」。

  

WAC(World AIDS Campaign)のページ

http://www.worldaidscampaign.org/en/Universal-Access-and-Human-Rights

2009世界エイズデーのテーマは「普遍的アクセス人権」-エイズ&ソサエティ研究会議・HATプロジェクト

http://asajp.at.webry.info/200906/article_6.html

  

このアクセスとは、HIVエイズのための医療へのアクセスのこと。世界のすべての人間が、HIVエイズ検査および陽性だった場合の抗レトロウィルス治療を受けることができる体制・環境を整えなければならない。HIVエイズ医療へのアクセスが妨げられる・奪われる(経済的に、また社会的文化的環境によって)ことは、すべての人間が健康に関して持っている基本的人権(世界人権宣言第25条)の侵害にほかならない、ということなのだろう。

  

3年前の2006年、「2010年までにすべての人がHIVエイズ予防プログラム、治療、ケア、支援にアクセスできるようになる」という目標が打ち出された。その2010年は、もう目の前、1ヵ月後である。

  

しかし、昨年2008年のキャンペーンテーマ「リーダーシップ」が単なる「目指すべき目標」ではなく、上記の公約を果たさない各国指導者に対する切迫した怒りをはらんでいたように、今年の「普遍的アクセス人権」も、瀬戸際といえる「現実の危機」を背景にしているようだ。

  

エイズデーを間近に、11月5日付で国境なき医師団が発表した報告は、世界不況によって始まった先進諸国の対HIVエイズ対策への資金援助の縮小が、最も多くのHIV陽性者・エイズ患者を擁しているアフリカ諸国などで進められてきた治療プログラムを停止させ、大勢の患者を死の瀬戸際に放り出そうとしていることを明らかにした。

  

抗レトロウィルス治療は、継続が必要だ。

HIV薬の服用は中絶してはいけない。薬の効かない耐性株が生まれ、生命の危険となる。

とても息の長いプロジェクトなのだ。

  

つまりHIVエイズ対策支援で、絶対やってはいけないことが、そのプログラムを「途中で途切れさせる」ということだ。

  

不況を理由にした資金援助の削減は、単に「(金がないから)他国まで構っていられない、仕方がない」という現実主義的自己中心主義の問題ではない。

HIVエイズと共存する世界の将来に対して、「最もやってはならないこと」をやろうとしている、ということなのではないか。

  

  

12月1日は世界エイズデー 資金減額で死者増加の恐れ-HIV/エイズ対策-国境なき医師団

http://www.msf.or.jp/news/2009/11/2138.php

  

エイズ対策のための国際的な資金援助公約の後退は、ここ数年、劇的に進展してエイズ関連の病気や死亡を減らしている取り組みを根底から覆す恐れがある―国境なき医師団(MSF) が2009年11月5日に発表した報告書はこう指摘している。

  

去る11月9日から11日にかけて、エチオピアアディスアベバで、第20回目の「世界エイズ結核マラリア対策基金」(世界基金)理事会が開催された際には、新規資金援助提案の一時凍結も危惧され、貧しい国々におけるエイズ対策は、金融危機による資金不足問題のしわ寄せを顕著に受けていることが明らかとなった。日本政府は、同基金の「生みの親」を自認しており、これまでに計10億ドル以上の援助を行ってきた。一方、米国のエイズ対策プログラムである「米国大統領エイズ救済緊急計画」(PEPFAR)は、今後2年間、資金援助額の増額を控えることを決定した。

  

現在、ウガンダでは、援助資金拠出機関による援助減額の影響がすでに出始めており、新規のHIV患者に対する治療中止を余儀なくされている医療施設もある。南アフリカ共和国フリーステート州では、昨年11月より数ヶ月間にわたって治療薬の供給不足が発生し、治療の中断や新患受け入れの延期の影響により、約3000人が死亡したとみられる。

  

2005年のG8サミットで首脳たちは、エイズ治療を2010年までにすべての人に行き渡らせることを公約し、この公約に勇気づけられて、多くのアフリカ諸国政府は意欲的なエイズ治療対策を打ち出した。

  

この結果、MSFが調べたところ、マラウイ南アフリカの抗レトロウイルス薬(ARV)治療が広く行われている地域では全死亡率が大きく低下し、また、マラウイのチョロ郡や南アフリカの西ケープ州では結核患者の数が大幅に減少している。世界基金からの援助資金凍結という当面の危機は回避されたものの、今後、国際的な資金拠出機関による援助資金の減額といった事態が生じれば、こうしたエイズ対策への投資が無駄に終わってしまうだけではなく、より重篤な症状に苦しむ患者が増加する一方で、治療に必要な援助資金額は増加の一途をたどるという悪循環に陥ってしまう危険性がある。

  

朝日新聞の記事-

HIVエイズ対策を後退させてはならない(国際支援の現場から)-朝日新聞(2009年11月13日)

http://www.asahi.com/international/shien/TKY200911120268.html

  

こちらも全文重要だが、要点だけ抜粋。

、「すべての患者にARV治療を」という国際合意の下に進められてきた取り組みと資金援助が、世界的な不況のなか、後退を始めている。12月1日の「世界エイズデー」を前に、国境なき医師団(MSF)は、途上国の多くの患者を死のふちに置き去りにしようとするこの動きに警鐘を鳴らし、支援の継続を訴える。

  

「世界エイズ結核マラリア対策基金」(以下、「世界基金」)は、2000年のG8九州・沖縄サミットを契機に翌年設立され、これまで各国の感染症対策に150億ドルを提供、350万人の命を救った、と推計されている。HIVエイズに関しては政府間援助の4分の1近くを担う最大の援助機関である。その「生みの親」を自認する日本政府も、理事国として積極的に「世界基金」を支援し、計10億ドル以上を拠出してきた。しかし、今年3月に「世界基金」は、2010年までの途上国政府の援助ニーズに対し、拠出金に40億ドル以上の不足が見込まれると報告。現在、援助の規模を急激に縮小している。積極的に拡大してきた援助予算に対し、拠出国からの資金が不足しはじめたためである。米国などの援助国政府も、援助規模の縮小や足踏みの傾向にある。

  

(中略)

  

 2005年のG8サミットで首脳たちは、2010年までにエイズ治療をすべての人に提供するため支援を行うことを公約した。この国際合意が多くのアフリカ政府を勇気づけ、積極的な挑戦を促してきた。

  

現時点での資金拠出の削減は、治療を期待する患者や、ARVで命をつなぐ患者の命を危険にさらす。すでに予算削減が始まったウガンダでは、一部の病院で新規患者の受け入れを停止している。南アフリカ共和国フリーステート州では、昨年11月からARVが不足し、治療の中止や新規受け入れの延期が数カ月間続いた結果、3000人の死につながったと見られている。

  

(後略)