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Ry0TAの日記

2009-06-05

その言葉の意味を

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信号待ちをしていたら、背後からいきなり聞こえてきた声に驚いた。

「……はドーセーアイだ!」

  

小学校の下校時刻だったらしい。横断歩道前には、小学生の大群が雲霞のごとく渦巻いていた。

「……はドーセーアイだ!」は、そのなかの某少年Aが、別の某少年Bを指して叫んだ言葉だった。

  

一瞬,呆気にとられて、振り返って声の主を捜してしまった。

ホモ!」「オカマ!」ではなく、「同性愛」という言葉が小学生の口から出てきたのが,意外だったからかもしれない。

  

が、振り返ったはいいが、何が起こっているのかは、よく分からなかった。よく聞き取れない少年Aの発言から推測するに、少年Bがかつて行った発言ないし行動が、少年Aの判断によれば「ドーセーアイ」であったらしい。

「おい、ドーセイアイ!」

これといったリアクションを返さない少年Bに、少年Aは苛立ったように近づき、ランドセルを乱暴に小突いた。声にこれみよがしなぐらいネガティヴなニュアンスをにじませて。

  

少年Bがどんな表情をしていたのか、なにか言ったのかは見えなかったし,聞こえなかった。すでに信号は変わっていて、小学生大隊は少年ABを巻き込んであっという間に横断歩道を走り抜けていった。可愛いい少女が2人、僕と同じ方向を見ておもしろそうに笑い、冷やかすように何かを叫んで通り過ぎた。

それで、「ドーセーアイ」事件は終わりであった。

  

・・・・・

  

要するに何かというと、僕はまた自分のヘタレぶりを噛み締めているのだ。

あそこで僕は、あの少年をつかまえなければならなかった。おじさんが「ドーセーアイ」だと言わなければならなかった。B君が「ドーセーアイ」だろうとなかろうと、「ドーセーアイ」のなにか悪いのかと、訊かなければならなかった。

  

けれど僕は、「ドーセーアイ」が"また"スティグマのように、否定の言葉として使われるのを見逃してしまった。

僕が何もできないまま、「ドーセーアイ」という言葉は僕を通り過ぎて、少年Aと少年Bと2人の少女とともに遠ざかってしまった。傷つけられたままで。人を傷つけるための言葉のままで。

  

その言葉の意味を,変えたかった、変えなければならなかったのに。